志望理由書で最も失敗しやすいのは、「いきなり書き始める」ことです。
準備不足のまま書き始めると、内容が浅くなったり、構成がバラバラになったり、何度も書き直すことになります。
この記事では、総合型選抜(AO入試)の志望理由書を書き始める前に必ず行うべき3つの準備を、具体的な手順とともに解説します。
なぜ準備が必要なのか
志望理由書は「書く作業」よりも「書く前の準備」で8割が決まります。
碧推薦学院で500名超(4年間)の受験生を指導してきた中で、志望理由書がスムーズに書ける受験生とそうでない受験生の最大の違いは、「書く前にどれだけ準備をしたか」でした。
| 準備なしで書いた場合 | 準備をしてから書いた場合 |
|---|---|
| 何を書くか迷い、手が止まる | 各パートに何を書くか明確 |
| 書いては消してを繰り返す | 初稿の完成度が高い |
| 添削で大幅な構成変更が発生 | 添削は表現の磨き込みが中心 |
| 完成まで2〜3か月かかることも | 1か月程度で高品質な志望理由書が完成 |
準備1: アドミッションポリシーの徹底分析
アドミッションポリシー(AP)とは
APとは、大学が「どのような学生を求めているか」を示した文書です。
志望理由書は、あなたがAPの求める人物像に合致していることを証明する書類です。APを分析せずに書くのは、相手の求めるものを知らずに提案書を書くようなものです。
分析の手順
手順1: APを入手する
志望校の公式ウェブサイトから、志望する学部・学科のAPを入手します。大学全体のAPではなく、学部・学科ごとのAPを確認してください。
手順2: キーワードを抽出する
APの文章から重要なキーワードを抜き出します。
例:
「自ら課題を設定し、多角的な視点から分析・考察する能力を有し、地域社会の発展に貢献する意欲を持つ人」
抽出キーワード:「自ら課題を設定」「多角的な視点」「分析・考察する能力」「地域社会」「貢献する意欲」
手順3: 自分の経験との対応表を作る
抽出したキーワードそれぞれに、自分のどの経験が対応するかを書き出します。
対応する経験がないキーワードがあれば、それは志望理由書の「弱点」です。
ポイント:APだけでなく、カリキュラムポリシー(CP)とディプロマポリシー(DP)も合わせて読むと、大学が求める人材像の全体像がより明確になります。
APの分析で調べるべき追加情報
APの分析と並行して、以下の情報も調査しましょう。
- 教授陣の研究テーマ:学部のウェブサイトで教授の専門分野を確認
- ゼミ・研究室の活動内容:可能であれば教授の論文や著書にも目を通す
- 特色あるカリキュラム・プログラム:他大学にはない独自の授業や制度
- 卒業生の進路:大学がどのような人材を輩出しているか
準備2: 自分の活動・経験の棚卸し
棚卸しの目的
高校時代のすべての活動・経験を書き出し、その中から志望理由書に書くべき素材を選びます。
棚卸しをせずに書き始めると、「最も印象的だったこと」だけを書いてしまい、研究テーマとの一貫性が弱くなりがちです。
棚卸しの手順
手順1: すべての活動を書き出す
以下のカテゴリに分けて、思いつく限り書き出します。
- 部活動・サークル活動
- 探究学習・課題研究
- ボランティア・地域活動
- コンテスト・大会への参加
- インターン・職業体験
- 自主的な調査・研究活動
- 読書・独学で深めたテーマ
- 家庭環境や生活の中での経験
手順2: 各活動の「学び」を言語化する
それぞれの活動について、以下を書き出します。
| 質問 | 記入欄の例 |
|---|---|
| 何をしたか(具体的な行動) | 商店街の店主15名にインタビュー |
| なぜやったか(動機) | 祖父の店の閉業危機がきっかけ |
| 何を発見・学んだか | 閉店の主因は後継者不足ではなく新規顧客の獲得困難 |
| 困難だったことと対処法 | 店主に断られることが多く、地元の知人を通じて紹介してもらった |
| 研究テーマとの関連性 | 地方商店街の持続可能性→関係人口の創出 |
手順3: 研究テーマとの一貫性で活動を選ぶ
棚卸しした活動の中から、研究テーマとの関連性が高い活動を1〜3つ選びます。
関連性の高い活動がない場合は、準備3で設定する研究テーマの方向性を調整する必要があるかもしれません。
注意:「すべての活動を志望理由書に書かなければならない」という決まりはありません。研究テーマと一貫性のある活動だけを選んで書きましょう。選ばれなかった活動は、活動報告書や調査書で伝えることができます。
準備3: 研究テーマの仮設定
なぜ「仮」でいいのか
志望理由書の中核となる研究テーマは、最初から完璧である必要はありません。
まず仮のテーマを設定し、志望理由書の執筆と添削を通じてブラッシュアップしていけば問題ありません。
ただし、「仮」とはいえ、以下の条件を満たす必要があります。
- パート1の問題意識と論理的につながっている
- パート2の活動実績と関連性がある
- 志望校の研究環境(教授・ゼミ・カリキュラム)で研究可能である
- パート4の将来のキャリアビジョンに接続できる
研究テーマの設定手順
手順1: 問題意識を「問い」に変換する
準備1・2で整理した問題意識を、研究の「問い」の形に変換します。
- 問題意識:「地方商店街が衰退している」
- 研究の問い:「関係人口の創出は、地方商店街の持続可能性にどのような影響を与えるか」
手順2: 志望校で研究可能か確認する
設定した研究テーマが、志望校の教授の専門分野やカリキュラムと合致しているか確認します。
合致する教授やゼミが見つからない場合は、テーマの調整が必要です。
手順3: テーマを「1文」で表現する
研究テーマを、誰が読んでも理解できる1文にまとめます。
良い例:「関係人口の創出が地方商店街の持続可能性に与える影響を、社会学的手法を用いて検証する」→ 何を、どうやって研究するかが1文で分かる。
NG例:「地方を元気にする方法を研究したい」→ 抽象的すぎて、何を研究するのか分かりません。
3つの準備の進め方スケジュール
3つの準備は、出願の2〜3か月前から始めるのが理想的です。
| 時期 | やること | 目安の所要時間 |
|---|---|---|
| 出願3か月前 | 準備1:AP分析 + 志望校リサーチ | 1〜2週間 |
| 出願2.5か月前 | 準備2:活動の棚卸し | 1週間 |
| 出願2か月前 | 準備3:研究テーマの仮設定 | 1週間 |
| 出願2か月前〜 | 志望理由書の執筆・添削(5〜10回) | 1〜1.5か月 |
注意:出願直前に慌てて書き始めると、準備が不十分なまま提出することになります。特に添削には時間がかかるため、余裕を持ったスケジュールで進めましょう。
準備段階でよくある失敗
- APを読まずに書き始める:大学が求める人物像を知らないまま書くため、的外れな内容になる
- 活動の棚卸しをせずに書く:最も印象的な活動だけを書いてしまい、一貫性が弱くなる
- 研究テーマを決めずに書く:志望理由書の核がないため、全体がぼやけた内容になる
- 1つの準備だけで書き始める:3つの準備は相互に関連しているため、すべて完了してから執筆に移る
まとめ
- 志望理由書は書く前の準備で8割が決まる。いきなり書き始めない
- 準備1:AP分析 → 大学が求める学生像を正確に把握し、自分の経験との対応表を作る
- 準備2:活動の棚卸し → すべての活動を書き出し、研究テーマとの関連性で選ぶ
- 準備3:研究テーマの仮設定 → 問題意識を「問い」に変換し、志望校で研究可能か確認する
- 3つの準備は出願の2〜3か月前から始める
- 準備をしっかり行うことで、初稿の完成度が上がり、添削の効率も良くなる
碧推薦学院では、志望理由書の準備段階からサポートを行っています。「何から始めればいいか分からない」という方は、ぜひ一度ご相談ください。
この記事は「志望理由書の書き方 完全ガイド」の関連記事です。