「将来の夢がないのに、志望理由書に何を書けばいいの?」。

総合型選抜(AO入試)を受験する高校生から、碧推薦学院が最も多く受ける相談の1つです。結論から言えば、18歳の段階で将来の夢が完全に決まっている必要はありません。

この記事では、将来の夢がまだ見つかっていない受験生が、志望理由書のキャリアビジョン(パート4)を書くための具体的な方法を解説します。

「将来の夢がない」は普通のこと

まず安心してほしいのは、将来の夢が明確に決まっていない高校生は、むしろ多数派だということです。

碧推薦学院で受験相談を受けた2,000名超の受験生のうち、初回相談の時点で「将来の夢がはっきりしている」と答えた方は少数でした。多くの受験生は、以下のような状態からスタートしています。

  • 漠然と「人の役に立ちたい」と思っているが、具体的な職業は決まっていない
  • 興味のある分野はあるが、それを仕事にするイメージが湧かない
  • やりたいことが複数あって、1つに絞れない
  • そもそも将来のことを深く考えたことがない

ポイント:志望理由書に書く「将来の夢」は、人生の最終決定ではありません。大学受験のための「仮の将来像」で構いません。大学に入ってから変わっても、まったく問題ありません。

志望理由書における「将来の夢」の役割

志望理由書のパート4(キャリアビジョン)に将来の夢を書く理由は、夢の内容そのものを評価するためではありません。

大学側が見ているのは以下の点です。

見ているポイント 具体的に何を確認しているか
一貫性 問題意識→活動→研究→将来が1本の線でつながっているか
計画性 大学での学びの「先」まで考えているか
論理的思考力 研究テーマから将来像への論理的な接続ができているか
主体性 自分の将来を自分で考えようとしているか

つまり、「その夢が正しいか」ではなく、「研究テーマと将来像が論理的につながっているか」が評価の対象です。

「仮の将来像」を設定する5つのステップ

将来の夢がない状態から、志望理由書に書ける「仮の将来像」を作る具体的な手順を紹介します。

ステップ1: 研究テーマから逆算する

志望理由書の核は、パート3の研究テーマです。将来像は、研究テーマの「その先」として自然に導かれるものです。

考え方の手順は以下の通りです。

  1. あなたの研究テーマは何か → 例:「地方の中小企業のDX推進」
  2. その研究で得られる知見は何か → 例:「中小企業がDXに成功する条件」
  3. その知見を活かせる仕事は何か → 例:「中小企業のDXコンサルタント」

良い例:研究テーマが「学習方法の格差と学力格差の関係」なら、将来像は「学習法指導を制度として導入する教育政策の立案に携わる研究者」のように、研究の延長線上に位置づける。

ステップ2: 「誰の」「どんな課題を」解決したいか考える

職業名が思いつかなくても、「誰のどんな課題を解決したいか」は考えられるはずです。

  • 誰の:地方の高齢者、外国にルーツを持つ子ども、中小企業の経営者、環境問題に直面する地域住民 など
  • どんな課題を:情報格差、教育機会の不平等、事業承継の困難、環境汚染 など

「誰の」「どんな課題を」が決まれば、そこから職業は自然と見えてきます。

ステップ3: 具体的な職種・役割に落とし込む

ステップ2で方向性が見えたら、具体的な職種や役割に変換します。

課題意識 考えられる職種・役割
教育格差を解消したい 教育政策研究者、NPO職員、教員、EdTech企業の開発者
地方創生に貢献したい 自治体の政策担当者、地域おこし協力隊、コンサルタント
環境問題を解決したい 環境省の政策立案者、環境系NGO職員、企業のCSR部門
国際協力に携わりたい 国際機関職員、JICA職員、開発コンサルタント
医療アクセスを改善したい 公衆衛生の研究者、医療政策の立案者、医療系スタートアップ

ステップ4: 「なぜその職種なのか」を研究テーマで説明する

職種を決めたら、それが研究テーマと論理的につながっていることを確認します。

NG例:「大学で教育心理学を研究したい。将来は商社で働きたい。」→ 研究テーマとキャリアに接続がない。

良い例:「大学で教育心理学を研究し、メタ認知学習法の効果を実証したい。その研究成果をもとに、公教育の現場で『学び方の指導』を制度化する教育政策の立案に携わりたい。」→ 研究と将来が一直線。

ステップ5: 完璧を目指さず、まず書いてみる

「仮の将来像」は、最初から完璧である必要はありません。まず書いてみて、添削を重ねる中でブラッシュアップしていけば大丈夫です。

大切なのは、以下の3点が満たされていることです。

  • 研究テーマとの論理的な接続がある
  • 具体的な職種・役割が書かれている
  • 「誰の」「どんな課題を」「どう解決するか」が明示されている

やってはいけない「将来の夢」の書き方

NG例1:「将来は社会に貢献できる人になりたいです。」→ 抽象的すぎて、どの学部の受験生にも当てはまります。

NG例2:「まだ将来の夢は決まっていませんが、大学で見つけたいと思います。」→ 正直ではありますが、志望理由書に書くべき内容ではありません。計画性がないと判断されます。

NG例3:「年収1,000万円以上稼げる職業に就きたいです。」→ 研究テーマとの接続がなく、志望動機として不適切です。

「やりたいことが複数ある」場合の対処法

やりたいことが複数あって絞れない場合は、以下の基準で1つに選びます。

  1. 研究テーマとの一貫性が最も高いものを選ぶ
  2. 志望校の特色と最も合致するものを選ぶ
  3. 一貫性が同程度なら、より具体的に語れるものを選ぶ

志望理由書は「人生の決定書」ではありません。大学受験という文脈で最も論理的なストーリーが組めるものを選ぶ、という判断で問題ありません。

まとめ

  • 18歳で将来の夢が決まっていないのは普通。焦る必要はない
  • 志望理由書に書く「将来の夢」は**「仮の将来像」で構わない**
  • 大学側が見ているのは、夢の内容ではなく研究テーマとの一貫性
  • 将来像は研究テーマから逆算して設定する
  • 「誰の」「どんな課題を」「どう解決するか」を具体的に書く
  • まず書いてみて、添削を重ねてブラッシュアップすればOK

碧推薦学院では、「将来の夢が見つからない」という段階からの受験サポートを行っています。研究テーマの設定からキャリアビジョンの構築まで、一緒に考えていきます。

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この記事は「志望理由書の書き方 完全ガイド」の関連記事です。

参考